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貴金属溶接『ロウ付け』について

こんにちは〜!皆様!

今日も暑い群馬よりお届けいたします。

 

さてさて今日は、ジュエリー作製時の工程の1つロウ付け』と呼ばれる、

貴金属同志の接着について、ちょっとお話ししましょう。

 

ロウ付けとは?

貴金属同士を溶接する際、地金と同じ成分をベースに、

他の金属を混ぜた合金である『ロウ(蝋)』

バーナーで溶かして接着剤のようにして使うのですが、

この溶接工程を『ロウ付け』といいます。

K18だったり、プラチナだったり、シルバーだったりで、

それぞれ融点が違うので、

それぞれの地金に合わせて、ロウは作られています。

 

ロウは基本、その時に接着したい地金の融点よりも

低い融点になるように作られています。

融点を下げるために、地金と同じ成分をベースに、他の金属を混ぜています。

 

ゴールドの溶接用だったら、18Kロウ、K16ロウ、K12ロウ、K10ロウなどがあります。

ゴールド含有率、融点の違いによってそのような名前がつけられています。

 

同じく、シルバーでしたら銀ロウ(銀、銅、亜鉛を主成分とする合金)で、

シルバーの含有率と融点の違いによって

2分ロウ、3分ロウ、5 分ロウ、7 分ロウ、9分ロウがあります。

 

プラチナでしたら、プラチナロウやホワイトロウなどを使います。

 

そしてどの地金でも『ロウ付け』の際に補助剤として重要なのが『フラックス』です。

この名称は俗称で、主成分はホウ酸塩とホウ砂で、液体もしくはペースト状です。

バーナーの火による金属の酸化防止の働きがあります。

ロウを流したい貴金属同士の接着部分に塗り、ロウにも塗ります。

 

無色透明の0.3ctブリオレットカットのダイヤ群 

 

 ロウ付けの原理

基本的にロウ付けは、

地金の融点よりも低い温度で溶けるロウをバーナーで溶かし、

ロウは温度の高い方へ流れる』という性質と『毛細管現象』を利用して、

くっつけたい地金同士の隙間に、ロウ材を流し込むという作業です。

 

ん??と思われますよね(笑)

もちろん細かい理解はどうでもいいです。

感覚的には、溶接のハンダが、『ロウ』だと思ってくだされば。

もしマニアックにちょっと知りたいな、と思う方はさらに読んでみてください。

 

そして、くっつける時に使うロウ材の融点は必ず、

くっつけたい地金の融点より低くなければなりません。

 

これも、ん??と思うかも知れませんね。

でも、よく考えてみるとわかります。

地金よりロウ材の融点が高ければ、

ロウ材を溶かそうと、バーナーで火を当てているうちに、

地金本体が溶けてしまいます。

せっかく形作った地金のベースが溶けてしまったら、元も子もありません。

ですので、くっつける時には、

本体が溶けない温度でかつ、ロウ材が溶ける温度にします。

ロウ材が溶けて隙間に入るようにするために、

ロウ材の融点は地金作品本体よりも低い融点のものを使います。

 

例えば、K18を溶接するときは主に、

融点の違いによって18Kロウや16Kロウ、K12ロウ、K10ロウを使い分けます。

 

普通のK18イエローゴールド(金75%、銅12.5%、銀12.5%)の融点は、924℃です。

ちなみに、K18ピンクゴールド(金75%、銅18%、パラジウム7%)で900℃、

K18ホワイトゴールドは色々な作り方があるので、

混ぜてある地金の成分によって違いますが、融点は1150~1400℃です。

 

K18ロウの融点は810℃、16Kロウの融点は780℃、

K12ロウの融点は760℃、K10ロウの融点は745℃です。

 

ですので、数カ所ロウ付け箇所がある場合には、

融点の差を利用して、地金が溶けないようにかつ、

前に付けたロー付け箇所も壊れないように、

高い融点のロウから使っていきます。

ですので、K18ロウ→K16ロウ→K12ロウ→K10ロウという順番で使っていきます。

 

ゴールドの場合は、シルバーほどロウ付けの際に温度コントロールがシビアでないので、

K18のロウ付け箇所が複数あっても、K16ロウだけで仕上げるという場合もあります。

 

シルバー925(銀92.5%、銅7.5%)の融点が910℃で、

シルバー950(銀95%、銅5%)の融点が945℃です。

銀ロウは、融点が高い順から2分ロウ、3分ロウ、5分ロウ、9分ロウ、7分ロウがあり

融点は820℃、780℃、750℃、730℃、720℃になります。

 

複数箇所ロウ付けの必要のない時は、

銀の含有の多い3分ロウあたりを使います。

ゴールドの時の説明と同じになりますが、

複数箇所のロウ付けが必要な時は、3分ロウ、5分ロウ、7分ロウを

融点の高いものから順に使っていきます。

 

ただし、シルバーはゴールドに比べて熱伝導率は高いため「熱しやすく冷めやすい」ので、

溶接箇所をバーナーで熱し、一定の温度を保つにはゴールドよりも難しいのです。

そのため、複数箇所のロウ付けの場合は温度管理が難しく、

ゴールドよりも技術が必要です。

 

0.1cハート型ローズカットダイヤのラリアットチェーンリング

 

ロウ付けの注意点

ロウ付けの時、もっとも大事なことは、

『酸化防止』『温度管理』です。

 

ロウ付けの時には、高温で熱するため金属表面が酸化してしまいます。

接着したい貴金属部分表面に酸化膜ができてしまいますと、

溶けたロウがスルっと流れるのを邪魔します。

 

さらに、ロウも金属なので酸化しますと、

表面が酸化皮膜で包まれた感じになり、スムーズに液化してくれません。

あまりに表面の酸化が進むと、干からびた感じで張り付き、

『枯れる』という状態になり、そこまで行ってしまうと、

もう火にかけても液体にはなりません。

枯れて固まってしまったロウを

ヤスリで削り落とす作業が必要になってしまいます。

 

この憎き(?)金属酸化を防ぐ大事な役目を担うのが、

先にも紹介しました、主成分ホウ酸塩とホウ砂の『フラックス』です。

ロウを流したい貴金属同士の接着部分に塗り、ロウにも塗ったうえで

バーナーで適切な温度になるように火をかけますと、スムーズに流れてくれます。

 

こうやって『フラックス』を使って金属表面の酸化を防ぎながら、

ロウは温度の高い方へ流れる』という性質を利用して、

上手に火を当てて温度調節しながら『ロウ』を誘導し、

くっつけたい地金同士の隙間に、ロウ材を流し込むのです。

 

しかし、この時、地金の固有の熱伝導率の違いによって、

ロウ付けの仕方も微妙に変えなければいけません。

シルバーのように熱伝導性が高いもの(熱しやすく冷めやすい)と

ゴールドやプラチナとは、火の扱い方熱する場所の範囲熱する時間が変わるので、

地金の特性をよく理解した上でバーナーの当て方を調節する必要があるのです。

 

ですので、ロウ付けの仕上がりを左右するのは、

彫金師のバーナーワークのうまさ(=温度管理のうまさ)

にあると言っても過言ではありません。

これは経験して、コツをつかんで行くしかないと思います。

 

 

 

こんな感じで、ジュエリーを作製しております。

何かご質問などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

もし良かったらこちらからご覧ください↓

 

 

ではでは、今日はこの辺で〜👋

この記事を書いた人

akazou (明石 馨)

atelier akazouのデザイナー兼ブログも書いている何でもござれの彫金師

美しい銀と宝石の輝きに取り憑かれて、気がついたら大学そっちのけで
宝飾の専門学校に通い詰めていました。
何とかどちらも卒業したものの、宝飾関係の職につかなかったのですが、
ひょんなことからまたジュエリー作りに携わっています。

ダイヤとお酒と美味しいものには目がありません。
ダイヤをこよなく愛し、ダイヤのキラキラでお酒が飲めるほどのダイヤオタク。

ダイヤオタク兼食いしん坊の作り手のテーマは、
『Jewelry Delicatessen ジュエリーデリカテッセン』
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