硬い地金をどうやって切るの?
こん、にち、は〜!皆様!
昨晩、群馬に戻ってきまして、
なかなか暑い中の行軍でした。
そして群馬も暑い。。。溶けるううう〜💦
気を取り直して、さて、今日も彫金のお話をば!
K18やK10の板や丸線、シルバーやプラチナなど、
これらをどうやって切ると思います?
彫金をしている方なら、
当たり前なのかもしれませんが、
きっと、彫金に携わらない人にとっては、
硬いのをどうやって切るのかな?
と疑問に思う方もいるのではないかな、
と思ったので、お話ししてみますね。
貴金属の厚さ、状態によって使う工具を選ぶ
教科書的には、金属糸ノコを使って、
『きちんと対象物をしっかり押さえて切る』
ということがお作法です。
その際に、工具の万力、クランプ、バイス
のようなものを利用して、きっちり留めて切ります。
ただ、彫金の対象の大きさが大掛かりなものでないので、
ちょっと不便だったりするのですよ。
ですので、万力やバイスのようなもので
直接金属を固定するのではなく、
クランプと穴あきの『すり板』という
かまぼこ板のような板を組み合わせて机に固定するか、
もしくは、直接彫金用の机に『カスガイ』をネジで強固に設置して
すり板を固定して使います。
ほとんどのプロの彫金師は、専用の彫金机で作業しているので
この専用の机にカスガイで固定する形で作業する方がほとんどです。
その時の感じがわかるように、
私の工具をよく購入する御徒町のシーフォースさんのサイトより
引用して掲載しておきますね↓
↑私の工具をよく購入する御徒町のシーフォースさんのサイトより引用
https://www.seaforce.co.jp/
わかりますでしょうか?
真ん中のお人形が作業しているのですが、
その手元にあるのが『すり板』で、
その上の方にすり板を固定するためのドアの取っ手のような『カスガイ』
が机に設置されています。
この板に押し当てる形で貴金属の板や線を固定し、
ノコで切ったり、やする時にも同様に押し当てて固定しながらヤスリます。
この『すり板』は、ノコの攻撃(!)もヤスリの攻撃(!)も受けますので、
だんだん擦り切れ、薄く小さく傷だらけになっていきます。
さらに固定時に使いやすいように、
あらかじめ削って薄くしたり、切ったりもしますので、
損傷、劣化は激しいのです。
使い勝手が悪くなれば、必要に応じて新しいものに交換します。
ですので『すり板』は彫金の作業に大活躍な欠かせない工具?の1つです。
↑私の使っている切断のための工具。真ん中がすり板。
あまり使わない金切バサミはちょっと錆びていて彫金師として恥ずかしいです(汗)
しかし、薄い板状のもの、丸線、角線などのあまり肉厚でないものは、
金属用のハサミやニッパーなどでパチンと切ることもあります。
と言いますのは、ノコでも切れるのですが、
一瞬で『パチン、はい、おしまい!』と出来るのに、
ノコを用意して、すり板を用意して切るというのが、
時間もかかって面倒だからです。
(大抵、彫金師はノコもすり板も専用デスクに
常にスタンバイしているので、あまり面倒でもないかも。
私は面倒に思いますが。。。)
確かに、あまり貴金属に厚みがある場合は、
ハサミの歯がこぼれることもありますし、
はさみで切ると、板の場合はクルリとそり返ってしまうので、
それが作品に支障をきたす場合(直せるけれどね)や、
ニッパーのように『くの字』に切れてしまうと、支障がある場合などは
やはり真っ直ぐに切れる糸ノコを使ったりします。
かかる時間と作品の出来上がりの綺麗さとを考慮して、選択をしています。
彫金歴の浅いときは、お作法というか教科書的に正しいというか
習った通りにきっちりしていたものですが、
経験を積むと、教科書的に工具を使うよりも、
仕上がりに影響ない、もっとお手軽で時短な方法があるとわかってきます。
そこで私は、結構何でもこだわりなく使います。
とは言っても選ぶ基準はきちんとありまして、
出来るだけ仕上がりに影響が少なくて、お手軽な方を使います。
例えば、私の場合の工夫なのですが、
金属バサミというとても硬い金属板も平気で切れるハサミがあります。
これで金ロウ(蝋)などは小さく刻むのが普通ですが、
金属バサミですと、材質や形状の関係上、
切れた時の金ロウ板の反り返りと、力学的反発がひどいので、
よく刻んだロウが飛んで行きます(泣)
これ、すごくイライラしますので、
彫金工具ではありませんが、ホームセンターにある、
ワイヤーも切れるごっついキッチンバサミのような金属バサミ
を使って切り刻んでおります。
ごっついので、少し繊細さには欠けるのですが、
キッチンバサミと剪定バサミの合いの子のようなハサミなので、
刃の少し長めで、刃に細かいギザギザが入っているので、よく切れる上、
指を入れるところも穴が大きくて安定しているので、
切れた小さいロウが飛びにくい!
これが結構優れもので、ちょっとした薄めのK18板などでも
切ったりしています。
これにはこれしか使えない!!
という先入観を取り払って、用途に応じて工夫すると
作業効率を上げるものです。
彫金に限らず、これは何でもそうかな?
最初はお手本通り、教わった通りに工具を使う。
でもその背景の原理原則がよくわかってくると、
その作業はこの工具で代用しても良いか、代用できないのか、
楽な方法を選んでも、作品の出来上がりに遜色ないか判断しつつ、
作業効率を上げる自分自身のやり方を工夫していくのです。
自分の作るものに応じてこれらをうまく使い分けると
自分の仕事の効率やクオリティが一気に上がります。
こういった工夫は、それぞれの彫金師にあると思います。
私が全く思いもつかなかったやり方など、
きっと皆さん自分だけの秘密?だったりするので、
もし機会があったら知れたらいいな、
すごく勉強になるだろうな、と思います。
こんな感じで、ジュエリーを作製しております。
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ではでは、今日はこの辺で〜👋
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