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10年着ているコートが教えてくれたこと 〜長く使うものが心を忙しくしない理由〜

気がつけば、もう10年近く着ているコートがあります。

流行っていたわけでもなく、特別に高価だったわけでもないのに、

なぜか今も手放せず、冬になると自然に手が伸びる一着です。

クローゼットの中には他にもいろいろあるはずなのに、

結局これを選んでしまう。不思議ですよね。

 

ここ数年、流行を追いかけることに、

少し疲れてしまったな、と感じることが増えました。

今年はこれ、来年はあれ、と気持ちが忙しくなってしまって、

どこか落ち着かない。

 

そんな中で、このコートだけは、いつ着ても古くならず、

気持ちまで整えてくれる存在でした。

素材が最高級というわけでもありません。

けれど、形がきれいで、着ると背筋がすっと伸びる。

自分の体や暮らしに、ちゃんと寄り添ってくれている感じがするのです。

長く使うものって、ただ便利なだけじゃなくて、

心を静かにしてくれる力があるんだな、

と、このコートを着るたびに思います。

 

今日は、そんな一着から教えてもらったことを、

少しお話ししてみようと思います。

 

流行に疲れた先で、私が選ぶようになったもの

流行を追いかけるのが、嫌いだったわけではありません。

むしろ以前は、新しいものを見るのも楽しかったし、

「今年はこんな感じなんだな」とワクワクしたものです。

でも、いつ頃からでしょうか、だんだんとそのスピードについていくのが

しんどくなってきた気がします。

 

今年はこれが正解、来年はもう違う。

去年気に入っていたものが、急に古く見える気がしてきたりして、

「まだきれいなのに」「まだ好きなのに」と、心のどこかで引っかかる。

その小さな違和感が、積み重なっていく感じです。

服や持ちものを選ぶたびに、正解を探しているようで、

気持ちが少し忙しくなる。そんな感覚を覚えるようになりました。

 

特に、忙しい日々の中では、クローゼットの前に立ったとき、

迷いが多いとそれだけで疲れてしまいます。

似合うかどうか、今っぽいかどうか、人からどう見えるか。

そんなことを考えなくてもいいはずなのに、

気づけば頭の中がいっぱいになっている。

おしゃれのはずなのに、なんだか落ち着かない。

そんな瞬間が増えていきました。

 

その頃から、私は少しずつ「選び方」を変えるようになった気がします。

流行っているかどうかよりも、長く使えるかどうか

今の自分にしっくりくるかどうか

着たときに、気持ちがざわつかないかどうか

そういう、静かな基準を大事にするようになりました。

 

流行に振り回されない、というと少し強い言い方かもしれません。

でも、無理に追いかけないだけで、ずいぶんと気持ちは楽になります。

選ぶ時間が減って、迷いも減って、

その分、自分の感覚を信じられるようになる

そんな変化が、少しずつ起きていました。

 

10年着ているコートが、今も色褪せない理由

その「静かな基準」を持つようになってから、ふと気づいたことがあります。

気持ちが落ち着いている日ほど、決まって同じコートを手に取っている、

ということでした。それが、気がつけば10年近く着ている一着です。

決して、いわゆる「最高級素材」というわけではありません。

今あらためて見ると、もっと良い生地はいくらでもあると思います。

でも、形が本当にきれいで、肩や背中のラインが自然に整う。

羽織ると、無理をしなくてもきちんと見える。

そんな不思議な安心感があります。

 

流行を感じさせるデザインではないのに、古く見えない。

むしろ、年齢を重ねるほどに、しっくりくる。

着るたびに「これで大丈夫」と思えるのは、

流行に左右されないオーソドックスな美しさがあるからなのかもしれません。

 

このコートを着ていると、あれこれ考えなくて済むんです。

今日は何を着ようか、これで合っているだろうか、そんな迷いがすっと消える。

長く使うものが、心を忙しくしない、というのは、

こういうことなのだと思います。

10年という時間の中で、何度も冬を一緒に過ごしてきたこのコートは、

いつの間にか「服」というより、自分の感覚を整えてくれる存在になっていました。

だから今も、変わらず手に取ってしまう。

その理由は、とてもシンプルなのかもしれません。

 

ヘビロテするカシミヤの冬のコート

↑ヘビロテしている私の冬のコート。黒なのですが、写真写りの光の加減で微妙な色に(汗)パターンが美しくて、トレンチとPコートのミックスみたいな形です。カシミヤとのことなのですが、通販でお買い得に買いました。着ているうちにゴワゴワしてきたので上質なものではなさそうです(涙)あまりのヘビロテにあちこち薄くなってきたりしているので、同じパターンで上質の生地で作ってもらうのが私の今のところの野望です。

 

血の通ったものだけを身につけたいと思うようになった

このコートのことを考えているうちに、

私は「血の通ったもの」という言葉を思い浮かべるようになりました。

少し大げさに聞こえるかもしれませんが、

長く大事にしているものには、不思議とそういう感じがあるのです。

 

探した時間があって、迷った理由があって、選んだ自分なりの決め手がある。

もし、わざわざ仕立ててもらったなら、その手間や待った時間も含めて、

ちゃんと記憶に残っている。

そういうものは、ただそこに「ある」のではなくて、

自分の時間や感情が染み込んでいるように感じます。

 

反対に、買ったことさえ忘れてしまっているものも、

家の中には意外とたくさんあります。

きれいなのに使っていない、悪くないのに手に取らない。

そういうものを見たとき、私はどこか「空っぽ」な印象を受けてしまいます。

物が悪いわけではなくて、関係が育たなかった、という感じでしょうか。

 

長く着ているこのコートは、その逆でした。

着るたびに、あのとき選んだ自分の感覚や、何年分もの冬の記憶が重なって、

自然と大切に扱おうという気持ちになります。

乱暴に脱いだり、適当に置いたりできない。

そういう気持ちが、いつの間にか当たり前になっていました。

 

だから最近は、数を増やすよりも、

血の通ったものだけを身につけたい!と思うようになりました。

自分の時間や感覚が、ちゃんと行き来しているもの

そういうものに囲まれている方が、

暮らしも、気持ちも、ずっと豊かになる気がしています。

 

いいものを持つと自分を大事にしている気がする

いいものを持つと、自分を大事にしている気がする。

それは、誰かに褒められるとか、高価だから満足するとか、

そういうこととは少し違う感覚です。

 

時間をかけて選んだものや、少しだけ頑張って手に入れたものを、

丁寧に扱っているとき、

ふと「私は私を雑に扱っていないな」と思う瞬間があります。

身につけるときも、帰って外すときも、自然と動作がゆっくりになる。

それだけで、気持ちが落ち着くような気がします。

 

いいもの、というのは必ずしも特別に高価なものではありません。

自分の中で理由があって選んだもの、

自分の感覚に正直に「好きだ」と思えたもの

そういうものは、不思議と長くそばに残りますし、

大切にしようという気持ちが自然に続いていきます。

 

この感覚は、服だけでなく、靴やバッグ、そしてジュエリーにも

共通していると思います。

何となく選んだものよりも、時間をかけて向き合って選んだものの方が、

身につけているときの安心感が違う。

鏡に映る自分を見て、「これでいい」と思える。

その小さな納得感が、日々の積み重ねの中で、

じわじわと効いてくる気がします。

 

自分を大事にしている感覚は、特別な出来事から生まれるものではなくて、

こうした小さな選択の積み重ねから生まれるのかもしれません。

何を選び、何を身につけるかそのひとつひとつが、自分自身への態度として返ってくる

そんなふうに感じるようになりました。

 

流行に振り回されず、血の通ったものを選ぶということ

流行に振り回されず、血の通ったものを選ぶ。

それは、何かを我慢するとか、流行を否定するとか、

そういう強い意志の話ではありません。

むしろ逆で、自分の感覚を信じて無理をしない選び方をする

ということなのだと思います。

 

たくさん持たなくてもいい。毎年新しくしなくてもいい。

その代わり、自分で選んで、長く使って、時間を重ねていけるものを大切にする

そうすると、不思議と心が忙しくならなくなります

今日は何を着よう、これでいいだろうか、

と迷う時間が減って、気持ちに余裕が生まれるのです。

 

血の通ったものには、自分の時間や感覚がちゃんと残ります

選んだときの気持ち、使い始めた頃のこと、何度も一緒に過ごした日常。

その積み重ねが、ものを単なる「持ち物」ではなく、

暮らしの一部にしてくれる

だからこそ、雑に扱えなくなるし、自然と大事にするようになるのだと思います。

 

ジュエリーも、同じだと思っています。

流行っているからではなく、誰かに勧められたからでもなく、

自分が本当に好きだと思えるものを選ぶ。

ちょっと頑張って手に入れて、長く身につけていく。

その時間ごと、愛していけるもの。

それはきっと、身につけるたびに「私は私を大事にしている」と、

静かに思わせてくれる存在になるでしょう。

 

流行はうつろいますが、自分の感覚は、意外と変わりません

だからこそ、血の通ったものを選ぶということは、

これから先の自分を、少し信頼してあげることなのかもしれません。

そんなふうに、私は思っています。

 

atelier akazou  明石 馨

 

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この記事を書いた人

akazou (明石 馨)

atelier akazouのデザイナー兼ブログも書いている何でもござれの彫金師

美しい銀と宝石の輝きに取り憑かれて、気がついたら大学そっちのけで
宝飾の専門学校に通い詰めていました。
何とかどちらも卒業したものの、宝飾関係の職につかなかったのですが、
ひょんなことからまたジュエリー作りに携わっています。

ダイヤとお酒と美味しいものには目がありません。
ダイヤをこよなく愛し、ダイヤのキラキラでお酒が飲めるほどのダイヤオタク。

ダイヤオタク兼食いしん坊の作り手のテーマは、
『Jewelry Delicatessen ジュエリーデリカテッセン』
心もお腹も満たす、ちょっとオシャレでラグジュアリーなデリのような
目にも美味しいジュエリーたちをお届けします。

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代表者名 明石 馨
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